乳がんの早期発見や予防に役立つ「遺伝子検査」。
特に、乳がんリスクに特化した遺伝子検査は、治療方針や予防計画を立てる上で重要です。
しかし、「どれくらいの費用がかかるのか」「保険は使えるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、乳がん遺伝子検査の費用や保険適用の条件、検査の流れやメリット・デメリットを詳しく解説します。
遺伝子検査で乳がんリスクがわかる仕組みとは?
乳がん遺伝子検査は、DNAに含まれる遺伝情報を解析し、乳がんリスクを評価する検査です。
特に有名なのが「BRCA1」「BRCA2」という遺伝子の変異を調べる検査で、これらの変異があると乳がんや卵巣がんのリスクが高いことが分かっています。
BRCA遺伝子とは?
BRCA1およびBRCA2は、体内でDNA修復に関わる重要な遺伝子です。
これらの遺伝子に変異がある場合、DNAの修復が正常に行えず、細胞ががん化する可能性が高まります。
このため、BRCA遺伝子の変異を持つ人は、一般の人よりも乳がんを発症する確率が高くなるのです。
具体的には、BRCA1変異を持つ女性では70%以上、BRCA2変異を持つ女性では50%以上が、生涯で乳がんを発症するとされています。
検査で得られる主な情報
- 乳がんリスクの高さ
特定の遺伝子変異がある場合、リスクの具体的な確率が示されます。 - 家族へのリスク共有(遺伝性乳がんの可能性)
検査結果は家族にも影響する可能性があります。遺伝性乳がんの場合、親族にも検査をすすめることができます。 - 予防的な治療や検診計画の指針
リスクを基に、乳がんの早期発見や予防的手術といった治療計画を立てられます。
遺伝子検査は誰に向いている?
乳がんの遺伝子検査は特に、以下の人に推奨されています。
- 家族に乳がんや卵巣がんの既往歴がある人
- 乳がんや卵巣がんと診断され、遺伝的なリスク評価が必要な人
- 予防医療に積極的で、自身のリスクを知りたい人
乳がん遺伝子検査の費用はいくら?
乳がん遺伝子検査の費用は、受ける検査の種類や提供機関によって異なります。
また、保険適用か自費診療かで大きく変動します。
以下に具体的な費用例を示します。
自費診療の場合
自費で乳がん遺伝子検査を受ける場合、費用は15万〜30万円が一般的です。
検査の精度や提供されるサービス(カウンセリング、医師の診断、アフターケアなど)によって価格が変わります。
- 保険適用外の検査内容を受けたい場合
保険でカバーされない詳細なリスク評価や追加検査が含まれる場合、自費診療を選ぶことが多いです。 - 診断前のリスク評価を希望する場合
乳がんや卵巣がんの診断がない場合は、基本的に保険適用外のため、自費になります。
保険適用の場合
BRCA遺伝子検査は、以下の条件を満たす場合に保険が適用されます。
- 乳がんや卵巣がんの診断を受けた患者
特に治療方針を決定する際に必要と判断された場合。 - 家族に乳がんや卵巣がんの既往歴があり、医師が検査を推奨する場合
家族歴がある場合は、保険適用の条件を満たしやすいです。
保険適用時の費用
保険適用時の自己負担額は、約1万〜3万円程度です。
ただし、加入している保険の種類や治療計画に応じて金額は変動します。
保険適用を受ける条件とは?
保険適用の条件は厳密に定められており、すべての人が対象になるわけではありません。
以下は、保険適用を受ける主な条件です。
保険適用の対象となるケース
- 既に乳がんまたは卵巣がんと診断された患者
特に、治療方針を決める上でBRCA遺伝子の検査が必要とされる場合。 - 家族に乳がんや卵巣がんの既往歴がある場合
遺伝性乳がんの可能性が高い場合、検査が推奨されることがあります。 - 医師の判断で検査が必要とされる場合
医師がガイドラインに基づき、リスク評価のために検査が必要だと判断した場合。
基本的に、保険適用は医療機関で「検査の必要が認められた場合」に限ります。
例えば市販の検査キットを使い、リスク有と結果が出たとしても、医療機関では再び検査やカウンセリングが必要になる可能性が高いです。
特に家族歴がある方は、最初から医療機関に相談したほうがいいでしょう。
遺伝子検査のメリットとデメリット
検査自体は検体を提供するだけなので、リスクはほぼ無いですが、遺伝子検査を行うこと自体にメリットとデメリットがあります。
メリット
- リスクを把握して予防できる
検査結果に基づき、定期検診や予防策を強化できます。 - 治療方針を決定するための情報が得られる
がん治療の選択肢を増やすことが可能です。 - 家族へのアドバイスが可能
遺伝性乳がんの可能性がある場合、家族も検査を受けることでリスクを評価できます。
デメリット
- 心理的負担が大きい
検査結果により、不安やストレスを感じることがあります。 - 費用が高額になることもある
自費の場合、経済的な負担が大きくなる可能性があります。 - 保険適用の条件が限定的
条件を満たさない場合、全額自己負担となります。
がん検査は結果次第で、人生を左右する病気リスクを知ることになります。
もし判定がアウト寄りなら、今後の人生でずっと結果がつきまとうこととなり、ストレスになって病気しやすくなる可能性もあります。
また、市販の検査キットはかなり高額ですし、結果も100%とは言い切れないため、無駄な浪費になる可能性もあります。
ただの不安から「すぐ検査!」━━ではなく、まずは医師のカウセリングを受けましょう。
乳がん遺伝子検査を受ける流れ
遺伝子検査を受ける場合、以下のような流れで進みます。
- 医師との相談
まずは医療機関で乳がんリスクや検査の必要性について相談します。 - 検査の同意書の確認
遺伝子検査は倫理的な配慮が必要なため、同意書の提出が求められます。 - 検査の実施
血液や唾液を採取し、専門機関でDNAを解析します。 - 結果説明と今後の方針
結果に基づき、医師やカウンセラーと予防策や治療計画について話し合います。
遺伝子検査を行っている医療機関は、ウェブ検索で探すことができます。
探す際は、以下のサイトを参考にしてください。
まとめ:がん検査は保険適用を選びましょう
乳がん遺伝子検査は、自分のリスクを事前に把握し、適切な予防や治療を進めるための有効な手段です。
ただし、費用や保険適用の条件を事前に確認し、医師と十分に相談することが重要です。
- 乳がん遺伝子検査の費用は15万〜30万円程度が一般的。保険適用時は1万〜3万円。
- 保険適用には厳密な条件があるため、医師と相談が必要。
- 検査結果をもとに予防や治療方針を決定できる。
家族歴がある方は、まず検査キットに頼るのではなく、近くの医療機関で「がん検診」を受診することをすすめます。
自治体が補助を出していることが多いですが、年齢制限などの条件があります。
この場合、若年層の方々は対象外になることが多いため、不安に思った時点で、まず医療機関に相談することをおすすめします。
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